石見銀山遺跡とその文化的景観

石見銀山

概要

石見銀山は、近世以前のアジアにおける銀鉱業発展の草分け的存在となる世界文化遺産です。
中国を発祥とし、韓国を通じて伝えられたアジアの灰吹き法(金銀の冶金方法の一種)技術の発展、及び16世紀における手作業による労働集約的な日本独自の小規模な職人集団による高品質な銀の大量生産技術により、西洋と東洋の間での価値基準の交換に貢献してきました。 

銀鉱山跡、鉱山村落、城跡、輸送経路、積出港などの複数の史跡から成るこの世界文化遺産は、銀の採掘活動に関連した独特な土地活用を後世に伝えるものとなります。

銀鉱石の資源が枯渇したため、銀の生産は終わりを迎えましたが、残された豊かな自然の中で銀採掘との関わりの深い文化的風景が発展し今もその名残を見ることができます。

登録基準

(ii) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。

石見銀山で生産された大量の銀は、貿易を通じて16世紀から17世紀の東アジアへ流通しましたが、この頃金銀や香辛料を求めて自らの文明圏を越えて世界に活動範囲を拡げつつあったヨーロッパ人が東アジアの貿易に参入し、東西の異なる経済・文化交流が行われるようになりました。

(iii) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。

石見銀山では、採掘から精錬までの作業が、すべて人力・手作業で行われました。このような作業を行う製錬工房が銀山現地に多数集まることによって、高品質の銀を大量に生産することができました。このことを証明する600カ所以上もの露頭掘り跡や坑道跡が今でも銀山山中に残っており、また、これらに隣接して、かつて製錬工房や生活の場であった平坦地が1,000カ所以上も残っています。

江戸時代の石見銀山では従来の伝統的技術による銀生産が続けられました。しかし、明治維新を迎えた19世紀後半以後になって、ヨーロッパの産業革命で発展を遂げた新技術が導入されましたが、銀鉱石が枯渇したため鉱山活動が停止していきました。その結果、今日、石見銀山遺跡には鉱山開発の伝統的技術による銀生産の跡が良好に残されました。

(v) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。

石見銀山遺跡には、採掘から精錬まで行われた鉱山跡を中心に、これを外敵から守った城跡が周囲の山々にあり、銀鉱石や銀、銀山で必要とされた物資を輸送した二本の街道が銀山から港までつながっています。さらに、かつて銀山の操業によって栄えた鉱山町や港町は、今日でも地域住民の生活の場となっています。このように、石見銀山遺跡は、銀の生産から搬出に至る鉱山運営の全体像を不足なく明確に示しています。

また、石見銀山遺跡とその周辺では、かつて製錬に必要とされた膨大な木材燃料の供給が、森林資源の適切な管理の下に行われたことにより、今日でも豊かな山林を残しています。このように鉱山に関係する遺跡と豊かな自然環境が一体となって文化的景観を形成する例は、世界的に極めて貴重です。

英語名

Iwami Ginzan Silver Mine and its Cultural Landscape

遺産種別

世界文化遺産

世界遺産登録時期

2007年

構成資産

  • 銀鉱山跡と鉱山町
    • 銀山柵内
      • 大久保間歩
      • 金生坑(きんせいこう)および精錬所までのトロッコ跡
      • 釜屋間歩(かまやまぶ)
    • 代官所跡
    • 矢滝城跡
    • 矢筈城跡
    • 石見城跡
    • 大森銀山伝統的重要建造物群保存地区
    • 宮ノ前地区
    • 熊谷家住宅
    • 羅漢寺五百羅漢
    • 佐毘売山神社
  • 石見銀山街道
    • 鞆ヶ浦道
    • 温泉津沖泊道
  • 港と港町
    • 鞆ヶ浦
    • 沖泊
    • 温泉津重要伝統的建造物群保存地区
  • その他周辺
    • 石見銀山処刑場
    • 千人壷
    • 胴地蔵
    • 人切岩

所在地

島根県

石見銀山 銀山柵内

その他の構成資産の所在地

石見銀山遺跡とその文化的景観の構成資産と所在地 | 日本の世界遺産一覧

観光客数

約31万人(2016年)

石見銀山全域の観光客数(「統計おおだ(平成28年版)」 | 島根県大田市公式サイト

その他の日本の世界遺産の観光客数ランキングはこちら。
日本の世界遺産 観光客数ランキング

おすすめ旅行プラン

おすすめ宿泊数(大阪から行く場合)

1泊~がおすすめ

おすすめ交通手段(大阪から行く場合)

自動車+バス
中国吹田IC⇒【中国自動車道】⇒落合JCT⇒【米子自動車道】⇒【山陰自動車道】⇒宍道IC⇒【国道9号】⇒仁摩町⇒大森町⇒石見銀山 世界遺産センターに車を止め、バスで移動
(石見銀山地内へは交通規制がしかれており、世界遺産センターへ駐車しバスへの乗換えが必要)

必要な体力

★★★★☆☆☆☆☆☆
なだらかな山間の道を歩く。

旅行日程例

【一日目】大阪から車で山陰方面へ。宍道湖を観光・付近で食事後、玉造温泉で宿泊。

【二日目】石見銀山観光。そのまま帰るもよし、付近の温泉(温泉津温泉、玉造温泉など)で疲れを癒すもよし。

予算の目安

高速道路(中国吹田⇒宍道) : 6700円(通常料金)
玉造温泉1泊2食 : 10000円~

温泉津温泉1泊2食 : 10000円~
世界遺産センター駐車料金 

石見銀山周辺の観光地

  • 温泉(玉造温泉、温泉津温泉)
  • 宍道湖
  • 松江城
  • 出雲大社
  • 県立しまね海洋館アクアス

など